Saint Seiya > せいんとせいやでドラクエ3をやってみた。 > 旅立ち編 |
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気付けば、オレは森の中にいた。妙にリアルで現実味があるけれど―――夢、なのだろうか? 前方から薄っすらと光が差し込んでいる。出口だと思い先へ進むと、滝に囲まれた断崖絶壁に出た。自分以外に人がいる気配はなく、ザアザアと涼しげな水音だけが絶え間なく響いている。 りあたん…… りあたん…… 私の声が、聞こえますね…。 りあたん? 誰だそれは。ていうか滝が喋った―――!? 唐突に聞こえてきた、おそらく若いであろう女性の声。しかし、どこか威厳を感じる、凛としたよく通る声色だ。 私は すべてを つかさどる者。 あなたは やがて 真の勇者として 私の前に あらわれることでしょう…。 全てを司る存在。姿こそ見えないが、声の主はもしや神か? なるほど、流石は夢の中だと妙な実感が湧く。 状況から察するに、どうも『りあたん』とはオレの事らしい。それにしても、神様が人間相手に可笑しなあだ名を付けたがるなんて初耳だ。よりによってこんな、センスの欠片もないあだ名を。 しかし その前に この私に おしえてほしいのです。 あなたが どういう人なのかを…… 最初に名前と生年月日を聞かれた。仮に偽ったとしても見透かされそうな気がするし、その必要もないので正直に言う。念を押されたので「はい」と答えると、立て続けにいくつかの質問を受けた。 ―――空を飛びたいか。洞窟を見ると入りたくなるか。今すぐ叶えたい願いはあるか。いずれも単純な内容で、かつ「はい」か「いいえ」の二択だった。 では これが 最後の質問です。 今度は、見知らぬ塔の頂上に移動した。背景だけが瞬時に塗り替えられたような、道具や魔法による瞬間移動とも違う不思議な感覚だった。 勇気の試練、というらしい。 随分と人気があるようで、既にけっこうな人数が待機列を成している。聞けば、ここから飛び降りることで勇気が試されるのだという。怖ければ階段を使って引き返しても良いのだとか。 よくわからないまま、とりあえず並んでみることにした。しかし、いっこうに進まない。列の横に顔を出すと、先頭の男が怖気づいて躊躇している姿が見えた。 「どうした? 順番が待てないなら、ここから先に飛んでもいいんだぜ」 「そうか。ならば」 声をかけてきた男に誘導され、足場ギリギリの端まで移動する。改めて地上を見下ろすとかなりの高度だ。ひゅう、と吹きつける風が恐怖心をより煽る。 目を固く瞑り、すうっ大きく息を吸い込む。もういい、この際どうにでもなれ! 「ええい面倒―――――ッ!!」 勢い良く飛び降りた瞬間、来た時と同じ感覚に襲われて目を開けた。 相当な衝撃が来るだろうと腹を括ったが、予測に反してオレは二本の足で何事もなかったように立っていた。目の前の景色は、最初に見たものと寸分違わぬ一面の青だった。 私は すべてを つかさどる者。 今 あなたが どういう人なのか わかったような気が します。 りあたん あなたは なかなか ロマンティストのようですね。 人には 親切で それでいて さりげないので だれからも 好かれる人柄のようです。 でも 人に やさしいのは よいのですが 人から好かれたいと思うあまり 自分を出すことを おそれていませんか? 空想のなかの あなたは もっと 活動的で 自由気ままのはず。 もうすこし 自分に自信をもって 生きてゆくように しましょう。 ……と これが あなたの性格です。 元の場所に戻るや否や、例の声はオレの性格について事細かに語り始めた。たかだか数個の質問に答え、塔から飛び降りただけで分析してしまうとは神だからこそか。 それに“ロマンティスト”かどうかはともかく、あながち間違えてもいない―――ような気がする。少し、恥ずかしい。そんなに女々しかったかな? オレ。 さあ そろそろ 夜が明ける頃。 あなたも この眠りから 目ざめることでしょう。 私は すべてを つかさどる者 いつの日か あなたに 会えることを 楽しみに まっています……。 (書いた人:ああああ) |
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