Saint Seiya > せいんとせいやでドラクエ3をやってみた。 > 旅立ち編 |
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「よくぞここまで来たな、勇者よ」 その佇まいは、絶対的強者の余裕。 全身を覆うものは、禍々しくも吸い込まれそうな漆黒のオーラ。 「一人で辿り着いたことは褒めてやろう。だが…貴様に余は倒せん」 「やってみなければわからない! 私は―――」 お前を倒す。そして、平和を取り戻してみせる。 父の遺志を継ぎ、全ての人々が幸せに暮らせる世界を勝ち取ってみせる。 「覚悟だ、魔王!!」 叫ぶと同時に、彼は敵の頭上まで一気に跳躍した。高々と掲げた愛用の剣は、バチバチと無数の稲妻を纏っている。一気に方をつけるべく、脳天から渾身の一撃を突き立てた。 ―――カキィン! 「…まさかっ!?」 彼は目を疑った。残ったものは手ごたえではなく“何か”によって攻撃を弾き返された感覚だった。手には無残に折れてしまった剣の柄だけが握られている。 つまり、敵は無傷だった。ザッ、と後ずさって間合いを取り、即座に体勢を立て直す。武器による攻撃が通用しないならば、拳で戦うのみだ。しかし、遅かった。 「己の愚かさを悔むが良い」 「ぐっ!!」 かすり傷すら負っていないのだろう。敵は一歩も動かぬまま、人間では到底及ばない強大な魔力を解き放った。放たれた魔力はそこにいたすべての生命の肉体を、血を、そして精神すらも無慈悲に凍らせた。 (私はここで…死ぬのか…!? すまない、父さん…アイオリア…) 残されたかすかな意識の中、思いを言葉にする間もなくその肉体は砂よりも細かく砕け散った。 この日、一人の若者が魔王の居城で息絶えた。 死体すら残らなかった彼の死は、誰にも知られることなく闇の中へ消えた。 (書いた人:ああああ/手直しした人:いいいい) |
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